フラミンゴみな片足の二月かな 今泉 而云
フラミンゴみな片足の二月かな 今泉 而云
『この一句』
ふざけているような詠み方だが、二月の雰囲気を実にうまく表している。こういう句をさりげなく詠めるような俳人は、現代俳句界にそれほど多くは居るまい。
フラミンゴや鶴や鷺やコウノトリが長い足を交互に引っ込めて片足立ちしているのをよく見る。ことに厳寒の候や吹く風の肌を刺す二月、野原や田んぼの中、フラミンゴなら動物園の池の真ん中で、片足を引っ込めた佇立の姿が見られる。ああやって引っ込めた方の足を温め、次ぎにもう片方をというやり方で、体温の消耗を防いでいるのだと聞いたことがある。それが本当なのかどうか知らないが、まあそうした解説はさておいて、いかにも寒むそうな景色である。
古くから水墨画、文人画の画材にもなっているように、これら大型野鳥の一本足姿には枯淡を感じる。春になったとは言っても、まだまだ冬の気温で風は冷たい。しかし、奇妙なことだが、そこからはほんわかとした温もりが伝わって来るようだ。それが桜色のフラミンゴともなればなおさらだ。柔らかな日差しでも射していれば申し分ない。
「お前たちそうやって春を待ってるんだな」とつぶやく作者の姿が見える。(水)