春や春ダンスパーティの喜寿傘寿 田中 白山
春や春ダンスパーティの喜寿傘寿 田中 白山
『この一句』
さる公立の会館で日曜日に行われる句会の開始時間は、ちょうどダンスクラブと重なっていて、開場を待つ間、互いのメンバーが同じベンチに待つことにもなる。派手なダンス組に比べると俳句組はどうしても押され気味だ。向うの女性が隣に座り、挨拶されたりするとドキマギしてしまう。
句会が始まってからもまだ問題が残る。部屋のドアを開けた時は、向うの音楽がドッと聞こえて来て、「賑やかにやっているな」などと思えば、選句作業が中断されることにもなる。しかし不思議に羨ましいとは思わない。よう、ご同輩、お互い元気にやっていこうじゃないか、とエールを送りたくなる。
この句からもそんな大らかな気分を窺うことが出来よう。彼らに「春や春、喜寿傘寿」と祝福を送っているのだ。負けじと思うのはどこまで続けられるか、である。喜寿は軽く超えて、傘寿、米寿、卒寿までも。向うは肉体を、こちらは頭脳を鍛えて、どちらが勝つか。やはりライバル同士だった。(恂)