寒の雨東尋坊に突き刺さり 岡田 臣弘
寒の雨東尋坊に突き刺さり 岡田 臣弘
『合評会から』(酔吟会)
操 東尋坊の岩壁ですね。「突き刺さり」は平凡かなと思ったけれど、寒々とした風景が見えてきます。
詠悟 あの岩場は本当に冷たい感じだ。突き刺さるというのは大げさな表現だが、実際それくらい寒い。
春陽子 広重の雨は黒い線で描かれているが、この句は白い雨が降っている感じですね。私は「突き刺さり」がいいと思う。絵が出来ている。
てる夫 私も「突き刺さり」でいただいた。雪国の冬の雨ですから、ぴったりきている。
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かつて俳句に「~の如く」という言い回しが流行し、「如く俳句」という言葉も生まれた。さらに「如く」は省き、現実であるかのように言い切った方がいい、という説も登場した。この句は常識的には「突き刺さる如く」と表現するところを「突き刺さり」と言い切っている。この手法は野球のピッチングで言えば直球に当たる。変化球的な味わいに欠けるが、その分、迫力が増して選者らの胸に突き刺さったようだ。「寒の雨」「東尋坊」に相応した詠み方と言えるだろう。(恂)