蒼白き大根の肌に通り雨 宇佐美 論
蒼白き大根の肌に通り雨 宇佐美 論
『合評会から』(三四郎句会)
賢一 たくわん作りで大根を干している場面を想像しました。まだ干したばかりのところだから、大根にみずみずしい青さがある。そこに雨が降ってくる。絵画的な句ですね。
信 私も大根の干した時だと思いました。大根がしわくちゃになる前の張りのある頃ですね。壁の前に大根がずらりと並んでいて、そこに雨がさっと掛かってくる。
崇 あまり気の付かない情景ですね。目のつけどころがいいと思います。
而云 私は家庭菜園かなと思いました。通り雨が大根の青いところに流れ落ちている、というような・・・。
論(作者) 実は市民農園の大根です。畑に植わったままで、青首の青いところに雨が流れている、というところです。大根は実にきれいです。大根の白さに惚れ惚れします。女性の脚よりきれいですね。(笑い)
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掛け大根を実際に見た人と見たことのない人によってコメントに違いが表れた。しかしどんな句も、状況のすべてを説明することは不可能だ。選者の見解が分かれることも俳句の面白さの一つ、と考えることにしようか。(恂)