雑踏に異国語混ざる師走かな 流合 研士郎
雑踏に異国語混ざる師走かな 流合 研士郎
『合評会から』(日経俳句会合同句会)
守 先日も秋葉原で外国人に道を聞かれた。これも師走の風景ですね。
双歩 私は同じような景色を「東京にアジアの訛り年の暮れ」としました。
涸魚 京都、銀座、新宿など盛り場は外人だらけ。それをうまく詠んでいる。
昌魚 この頃はどこに行っても外国人の姿が眼につく。師走の風景の一つとして面白い。
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昭和36,7年ごろ、観光地の紹介記事を書く旅行記者はいたが、私は「観光」を社会現象と捉え、産業としての側面から描く記事があってもいいのではないかと考え、書きまくった。その頃の日本は外貨不足のため国民の海外観光旅行を許さず、もっぱら訪日外国人を呼び込むことに必死になっていた。しかし外人観光客は年間二万人くらいがせいぜいだった。それが今や千三百万人だという。中国人観光客がめったやたらに買いまくる「爆買い」が流行語になった。繁華街にアジア語が飛び交う、そんな「今年の風景」をこの句はよく詠んでいる。(水)