煤払小さき妻におだてられ 澤井 二堂
煤払小さき妻におだてられ 澤井 二堂
『合評会から』(日経俳句会年末合同句会)
金丸泰輔 私は年老いた母を九州に一人で残しており、その歳末の姿を思い出したりして、(私が)いれば、こんな風だろうなあと思いまして・・。
須藤光迷 作者はカミサンにおだてられていると分かった上で、いそいそと大掃除の手伝いをしている。いい風景です。
鈴木好夫 おだてられてか、自発的かはともかく、いい夫婦です。「小さき妻」がいい。
高瀬大虫 そうですね、私もいい風景だなと思いました。
高橋ヲブラダ 「小さき妻」に愛情が感じられます。実は結構怖かったりして・・。
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戦前までの冬の暖房は火鉢、囲炉裏、ストーブなど、直接モノを燃やして屋内を暖めていた。当然、屋内の天井や梁、長押、棚の上などには煤が埃とともに溜まる。大掃除を兼ねてそれを綺麗にするのが年末の一仕事だった。俳句では今でも暮れの大掃除のこととして「煤払(すすはらい)」という季語が生きている。この句は率先参加する模範的亭主を面白く詠んでいる。(水)