アールデコラインアーチに冬の松 深瀬 久敬
アールデコラインアーチに冬の松 深瀬 久敬
『合評会から』(三四郎句会・東京都庭園美術館吟行)
論 あの芝生の庭では松が目立っていたが、幹は直線であり、曲線的でもあった。松もアールデコで、建物のスタイルにもマッチしていると思った。
進 建物の中からも庭の松がよく見えました。旧館から新館にかけて歩いて行くと、庭の景色がよく見えましてね。ガラス越しに見る松の形は、映像のようだった。
而云 アールデコの直線と曲線が分かり、確かにあの庭は和式であり西欧的な雰囲気でもあった。建物を建てた人も、庭を作る人も、その辺りのことを考えていたに違いない。
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吟行句の特徴と、ある意味では欠点を表ししている作と言えるだろう。この美術館に行った人はアールデコという芸術様式が頭に収まっており、この句は同行者からは「上手く表現した」と賛辞を受けた。しかし知識のない人は「何のことやら」と頭を捻るだろう。吟行句はどうあるべきか、について考えさせられる作であった。(恂)