木蓮の輝く冬芽ひとつずつ 堤 てる夫
木蓮の輝く冬芽ひとつずつ 堤 てる夫
『合評会から』(番町喜楽会)
佳子 木蓮の花芽、この時期は句の通りピカピカと輝いていて、本当にきれいですね。
啓一 全く同じ意見です。本日の全ての句の中で一番きれいな句だと思った。
白山 あれ、ねずみ色というのか。いや、銀色かな。花芽はこの時期、本当に一つずつが輝いています。逆光線だと特に奇麗に見えるんじゃないですか。
てる夫(作者) 我が家の庭の木蓮なんです。
何人か(異口同音に) ほう、それは羨ましい。
* *
作者は木蓮の冬の花芽を一つずつ眺めていた。あれもこれも、みんな輝いている、と網膜に刻んでいたのだろう。私も木蓮の花芽は好きだが、一つ一つをじっくり見た、という記憶はない。大体は歩きながら「ヤマダさんの木蓮、芽が膨らんできたな」などと呟きながら通り過ぎるだけだ。つまり私は、「我が家の木蓮」という作者の言葉を聞いて、「ほう」と羨ましげな声を発した一人である。(恂)