雑踏に一人吟行三の酉 高瀬 大虫
雑踏に一人吟行三の酉 高瀬 大虫
『合評会から』(番町喜楽会)
厳水 雑踏に一人ですか。それに三の酉。雰囲気のいい句ですね。
てる夫 三の酉の一人吟行、というのが上手い。どうして一人で行ったのか、なんて考えてしまう。
冷峰 今年の三の酉はもう終わったが、雑踏に一人とは、上手に作ったなぁ。
春陽子 この人、まじめですね。私もこうありたいものです。
光迷 おっしゃる通り。一人吟行とは立派です。
百子 三の酉だと、誰かを誘っても、もう先に行っていたりして。一人になりがちなのかな。
而云 一人で酉の市に行ったことがあって、この句はまさに実感。その時は自然に句材を探していました。
水牛 一人で行くから吟行になるんだ。
* *
三の酉はおおよそ二年に一度。十一月の一日~六日が一の酉になれば、三の酉の年になる。ではその場合、なぜ約二年に一度、三の酉になるのか。子~亥の十二支が三十日間に繰り返すことに関係するのだが、その先の「なぜ」を考え出すと、頭がこんがらがってくる。ともかく次の三の酉は再来年である。(恂)