冬の河水陸両用バスざぶん   高橋 ヲブラダ

冬の河水陸両用バスざぶん   高橋 ヲブラダ 『この一句』  「夏の河」なら何と言うことはない、「気持良さそうだな」という通り一遍の感想が洩れる程度の句となる。しかし、なんと「冬の河」にざぶんとバスが飛び込んだというのだから度肝を抜かれる。  “Sky Duck”という愛称の水陸両用バス。東京スカイツリーのそばの運河に飛び込んで旧中川を巡って戻るコースで、大人気だ。大阪にもあって、桜宮公園から旧淀川を航行している。そうしたら他にも、諏訪湖、日光・湯西川温泉、琵琶湖、霞ヶ浦と、いろいろな所にあるのだそうだ。いつの間にか妙なものが流行る時代になっていた。  作者は水陸両用バスに乗っているのではなくて、河に飛び込むバスを陸の方から呆気にとられて見つめているのに違いない。そして、「うわ、寒い」と首をすくめているのだ。  中七下五句またがりで「水陸両用バスざぶん」という意表を突く詠み方が、なんとも言えないおかしさを醸し出している。(水)

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