初時雨けふを最後の同期会 廣上 正市
初時雨けふを最後の同期会 廣上 正市
『合評会から』(日経俳句会)
正裕 我々の年代にとっては同期会もお終いに近い。「最後の同期会」というフレーズと初時雨のそこはかとない寂しさが心に響きました。
反平 今回の句を拝見していると、季語との距離感がある。これは季語との距離感がピタリです。
定利 初時雨はホンワカとした感じでしょうか、それと最後の同期会だとバランスがいい。
而云 そうですか。初時雨と最後の同期会は付き過ぎで、そのため平凡になったかな、と思いました。
好夫 私もいずれそうなるので、「最後の同期会」に惹かれた。しかし季語は「山茶花」でも構わない。
悌志郎 初時雨がわびしいものかどうか、よく分からなかった。
* *
「最後の同期会」によって、多くの共感を得た最高点句。その一方で、さまざま議論を呼んだ句でもあった。「季語は山茶花でもいい」(好夫)という言葉に「なるほど」と思った。作者は「季語をどうしようか、と考えた」と語っている。上五に「初時雨」と「山茶花や」を置き、それぞれを考えて見たい。(恂)