まだ恋の一つや二つ木の葉髪 玉田 春陽子
まだ恋の一つや二つ木の葉髪 玉田 春陽子
『合評会から』(酔吟会)
涸魚 老いらくの恋はいくつになっても尽きない。人間の色気が尽きないからだろう。ある種の執念と、ユーモアを感じるいい句だ。
水馬 多少強がりも感じるが、元気があり、面白い句だ。
冷峰 この句は私一人しかとらないのではないかと思ったが、共感者がこんなにいるとはびっくりした。
反平 うらやましい気がする。女性の句だといいなとも思った。
てる夫 今の時代、木葉髪など気にして恋しない人なんていないのではないか。
而云 ちょっと遊び過ぎの感じもする。真摯さに欠けているとも言える。でもこういう句も詠めるというのが、俳句の本質かもしれない。
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七十歳の声を聞く頃、つまり老境に差し掛かった年代の願望と強がりの滲み出た句で、実に面白い。実行に移す割合がどの程度かは分からないが、こういう元気な年寄りは確実に増えている。(水)