天高しゆるゆる戻る蛸の足      須藤 光迷

天高しゆるゆる戻る蛸の足      須藤 光迷 『合評会から』(日経俳句会) 好夫 「天高し」と蛸の関係は不明だが(笑い)、蛸の足は確かに蛸壷などにゆるゆる入って行く。面白い。 智宥 魚河岸あたりの風景かな。「天高し」でなくても、上に何が付こうともいいんですが、「ゆるゆる戻る蛸の足」で“美味しく”いただきました。 反平 三浦岬の城ケ島あたりの風景かと思ったが、そうか魚河岸か。 大虫 トロ箱に入っていて、だいぶん弱って足が少し動いている。岸壁の上かもしれませんが。 双歩 秋の空に蛸の足が踊っている。「ゆるゆる戻る」という表現がいい。 水馬 面白いけど、蛸は一応、夏の季語ですね。 水牛 この場合、「蛸の足」は季語じゃないですね。ボクは蛸の足のような秋の雲かと思った。               *          *  これは昭和の初期から俳句界でブームとなった「モンタージュ手法」ですね。二つの異物をぶつけて新たなイメージを産む、というもの。かつてよく聞いた「二物衝撃」という語を久しぶりに思い出した。(恂)

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