天高しゆるゆる戻る蛸の足 須藤 光迷
天高しゆるゆる戻る蛸の足 須藤 光迷
『合評会から』(日経俳句会)
好夫 「天高し」と蛸の関係は不明だが(笑い)、蛸の足は確かに蛸壷などにゆるゆる入って行く。面白い。
智宥 魚河岸あたりの風景かな。「天高し」でなくても、上に何が付こうともいいんですが、「ゆるゆる戻る蛸の足」で“美味しく”いただきました。
反平 三浦岬の城ケ島あたりの風景かと思ったが、そうか魚河岸か。
大虫 トロ箱に入っていて、だいぶん弱って足が少し動いている。岸壁の上かもしれませんが。
双歩 秋の空に蛸の足が踊っている。「ゆるゆる戻る」という表現がいい。
水馬 面白いけど、蛸は一応、夏の季語ですね。
水牛 この場合、「蛸の足」は季語じゃないですね。ボクは蛸の足のような秋の雲かと思った。
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これは昭和の初期から俳句界でブームとなった「モンタージュ手法」ですね。二つの異物をぶつけて新たなイメージを産む、というもの。かつてよく聞いた「二物衝撃」という語を久しぶりに思い出した。(恂)