自販機のコインの響く夜寒かな 岡田 臣弘
自販機のコインの響く夜寒かな 岡田 臣弘
『合評会から』(日経俳句会)
好夫 雑踏の街に住んでいて、これはまさに実景。夜、自販機で買っている人を見ると、音が聞こえるかはともかく、なんとなくホッとするんですね。
てる夫 小遊三ならずとも夜半の物音は気になるところ。まさか作者も自販機の下に手を入れてはいないでしょうね?(笑い)
博明 「コインの響く」がいいと思います。
青水 「夜寒」を生き生きと描写している。最近は甘酒とかおでんなども売っているそうな。
十三妹 そこはかとなく漂う秋の寂寥が心にしみ込む。
反平 自分の心も寒いんですね。
* * *
飲んだ挙げ句か夜勤帰りか、あるいは趣味の集まりなどで遅くなったのか。夜も深まって、自販機の飲み物を買う。思ってもみなかった大きな音が響く。あたりが静まりかえっていることに気づいて、これはこれはと思う。夜寒の感じが実によく出ている。(水)