天高し草投げ上げる象の鼻   大熊 万歩

天高し草投げ上げる象の鼻   大熊 万歩 『合評会から』(日経俳句会) 好夫 象が草を投げ上げることで、天がさらに高くなるのでしょう。 大虫 これは象が仕事をしているのかな。面白い景色だ。 二堂 やはり食べているところでしょう。私は上野動物園によく行くんですが、象はよく草を投げ上げたりしてます。愉快な感じです。 臣弘 秋の暖かい日の象の様子がよく出ている。 双歩 万歩さんは前に跳ね橋を見上げている句があったが、よく空を見上げる人だ(大笑い)。 青水 映像でもよく見かける光景だが、季語をうまく活かした。 綾子 象の鼻先に青空が見え、気持のいい句です。           *       *       *  句会ではみんな口をそろえて「気持のいい句」と言った。秋も深まって、いよいよ天高しの季節。象の食欲も旺盛、草の山を鼻で掻き回し、好きな草から順々に食べていく。時々、鼻息で吹き飛ばしたり、一旦掴んだ草を空に吹き上げたりしている。大人も子どもも飽かず眺めている。(水)

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