流鏑馬の的散る先や曼珠沙華 印南 進
流鏑馬の的散る先や曼珠沙華 印南 進
『合評会から』(三四郎句会)
賢一 曼殊沙華に流鏑馬(やぶさめ)をもってきましたか。馬に乗って、矢を射って、的が飛び散る。あっ、あんなところに曼殊沙華が、ということですね。
有弘 鋭い動きをよく捉えたところに感服しました。
恂之介 四角い板が割れて、ぽーんと飛んでいきますね。ただ「先や」まで、詠んだ方がいいかどうか。しかし珍しい瞬間を捉えていると思いました。
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鎌倉の鶴岡八幡宮の流鏑馬神事であろう。文治3年(1187年)源頼朝によって奉納されたのが嚆矢とされ、今では八幡宮例大祭の最終日9月16日に行われている。この他に4月第3日曜の鎌倉まつり最終日と、10月第1日曜の崇敬者大祭にも開催される。毎回大勢の見物人でごった返す人気イベントだ。
古式ゆかしい装束の騎馬武者が馬蹄の響き轟かせて走ってきて、矢を放ち、的の板を見事割るとやんやの喝采。勇壮、というよりはむしろ駘蕩たる感じなのが愉快である。(水)