利き酒のほどよく醒めて処暑の風   谷川 水馬

利き酒のほどよく醒めて処暑の風   谷川 水馬 『季のことば』  「処暑」とは二十四節気の旧暦七月中(月の半ば)。立秋から十五日後だから現代のカレンダーでは八月二十三日頃になる。「処」とは「止まる、落ち着く」といった意味で、暑さが一段落する時期というわけだ。  まだまだ暑い日が続き、「残暑」という季語が幅を利かしているから、「処暑」はともすれば忘れられ、これを載せていない歳時記もかなりある。しかし、八月も末になると暑さの中にもふっと涼しい風が吹き、朝晩は特にそう思う。「ちょっと一息ついた」という微妙な感じを伝える処暑という季語は捨てがたい。  近ごろ和食ブームも相俟って、世界中で日本酒人気が高まっているようだ。地方都市もそれぞれの地酒を売り出そうと、蔵元が「利き酒コーナー」などしつらえて、観光客を呼び込んでいる。これが大いに賑わっている。「お酒大好き」の作者も新潟へ行って早速体験、次から次へと試飲しているうちに、かなりの量になった。外へ出るともう日が傾き、心地良い風が吹いている。散策しているうちにほてった頬も徐々に冷めてきて、「やはりもう秋だなあ」と思う。(水)

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