七十年は永い短い南瓜食う      横井 定利

七十年は永い短い南瓜食う      横井 定利 『季のことば』  南瓜(かぼちゃ)、唐茄子、南京、ぼうぶら。南瓜に別名は多いが、どれも外国の地名、地域に由来するという。世界中のいろいろな場所で作られていたものが日本に到来し、日本人に食べられてきたのである。種を播いただけで、芽生え、花をつけ、結実し、大きく実る。何とも頑健な野菜だが・・・。  美味い、不味いがはっきりしていて、戦中戦後を生きた世代には「もう二度と食べたくない」という人がいる。かと思えば、同じ世代ながら「昔に比べると、本当に美味くなった」と好物にしている人もいる。そしてその世代こそ、粗食に耐えて終戦直後を生き延び、「七十年」を迎えた人たちなのだ。  今やその世代の時代も終わりに近づいてきた。顧みれば一年、また一年、蕪村の句を借りれば「つもりて遠き昔かな」である。南瓜もさつま芋もとうもろこしも、本当に美味しくなってきたが、いまだに苦いと感じる人もいるようだ。この句に「戦」の語はなくても、詠まれているのはもちろん敗戦日である。(恂)

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