西日へと一直線に中央線      大倉悌志郎

西日へと一直線に中央線      大倉悌志郎 『この一句』  JRの中央線もいろいろあって、細かく分けると中央本線、中央東線、西線など十以上にもなるらしい。この句は東京駅から高尾までの「中央線快速」のうち、新宿を出て「鈍行」の大久保駅あたりから立川までの二十五キロほどに当てはまるのだろう。なにしろこの間は真西に向かって一直線なのだ。  なぜ一直線なのか。要するに建設された明治年代は地価が安く、買収し易かったからだという。この沿線に生れ育った人(筆者も)はそんな話を知っているので、中央線のホームに立つと西に伸びる線路を眺めるクセがある。だから句会でこの句を見た瞬間、「異議なし」と一も二もなく選んでいた。  夏休みの時期、海へ行っての帰りなどに大きな西日を、たぶん見ていた。「たぶん」というのはいつも何度も見ていたからで、それも線路の先か、青梅街道の果てか、と記憶は曖昧なのだ。西日の左手には青黒い富士があり、その左右に低い山並みが・・・。今なら新宿の超高層ビルからよく見える風景である。(恂)

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