昼顔の砂利山登り咲きにけり   高瀬 大虫

昼顔の砂利山登り咲きにけり   高瀬 大虫 『季のことば』  朝顔は「秋」の季語だが、昼顔は「夏」である。朝顔は一年草で、春もかなり温かくなってから去年土にこぼれたタネが芽吹き、夏に蔓を伸ばして八月の声を聞くようになってから咲き出す。朝顔市で売られたり花屋の店頭には夏から咲いているが、本来の花期は秋。  これに対して昼顔は地中に根を張り巡らし越冬する宿根性の多年草だから、春に芽を出すといち早く蔓をのばし、初夏から咲き始める。朝顔が明け方に咲き出し、太陽が高くなると萎むのに対して、昼顔はお日さまが照り出すと咲き始め、夕方になると萎む。朝顔は大昔から品種改良されて、さまざまな色や咲き方を誇る園芸植物になっている。片や昼顔は花も小さく、わざわざ育てようという人は少ない。同じヒルガオ科なのに、朝顔と昼顔は対称的である。  昼顔は道端に生え、造成地の砂利山にもはびこる。真夏のお日さまにあぶられて触ると熱い鉄条網に、平気でからみついたりしている。そして、お猪口のような形の桃色の花を涼しげに咲かす。可憐そのものだが、実にしぶとい、下町のおきゃんな娘のようである。(水)

続きを読む