ほろ酔ひの茅の輪くぐりてしづかなる   廣田 可升

ほろ酔ひの茅の輪くぐりてしづかなる   廣田 可升 『季のことば』  「茅の輪くぐり」とはチガヤを束ねた大きな真ん丸の輪を神社の社殿の前に立て、これを潜ることによって、犯した罪や身についた汚れを祓い落とし浄める神事である。元々は大和朝廷の宮中行事で、旧暦六月と十二月の晦日に行う「大祓(おおはらえ)」が江戸時代に民間に伝わり、山王神社はじめ各神社で行なわれるようになった。六月のを「水無月祓(みなづきはらえ)」「夏越祓(なごしのはらえ)」と言い、十二月のを「年越祓(としこしのはらえ)」と言う。  茅の輪は「結界」であり、穢れたこちら側(ケ)と神の在ます向こう側(ハレ)とを分ける門である。祈りながらそこを潜り罪咎穢れを祓い落とし、まっさらな身になって七月一日あるいは一月一日という新しい年の区切りを迎えようというわけである。今日では年越祓は初詣に押されてすっかり影が薄くなり、もっぱら夏越祓になっている。人の形に切った白紙に名前と生年月日を記し、それで身体を撫で回して汚れを吸い取らせ、川に流すこともする。  ほろ酔いの人が浮かれ気分で茅の輪を潜ったら、おやおや神妙に静かになってしまったという。神威あらたかという感じが面白い。(水)

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