新しき浴衣地裁ちぬざっくりと   岩沢 克恵

新しき浴衣地裁ちぬざっくりと   岩沢 克恵 『合評会から』(番町喜楽会) 水馬 「ざっくりと」というのがいいなあと思ったんです。なんとなくもやもやした感じの季節で、自分もぼんやりしている。そんな時に、ばさっと、という感じです。 斗詩子 大きな裁ち鋏で新しい布地を裁つ時のドキドキ感。爽快感が「ざっくりと」に現れています。 光迷 最近うちで浴衣を縫うことは少なくなっていると思いますが、こういう風に自分で仕立てるというのはいいもんですね。やはりこの句は「ざっくりと」が利いていると思います。           *       *       *  昔の女学生は「運針」を学ぶためにまず雑巾を縫うことから始め、浴衣を縫い上げることで卒業となった。今やお母さん世代が縫い針を満足に扱えないというから、浴衣地を裁つことなど夢にもよらないだろう。この句には、まさに郷愁を誘われる。(水)

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