姥捨の眼下どこまで青棚田        後藤 尚弘

姥捨の眼下どこまで青棚田        後藤 尚弘 『この一句』  姥捨山だと「うばすてやま」だが、地名は「おばすて」と読む。月見の名所であり、「千枚田」と呼ばれる棚田で知られる。仲秋の名月の頃に吟行で出かけた時、見降ろした棚田に目を見張った。家も点在し、道路もあるのだが、千曲川までの二、三キロはすべて黄金の稲田、と言っていいほどだった。  JR篠ノ井線の姥捨駅(長野県千曲市)は標高約五五〇叩1愽婉瓩ら見下ろすと延々と棚田のようだが、どこかで平地になっているはずである。しかしどこから普通の田になるのか。もしかしたら千曲川までずっと棚田なのか。この句は「どこまでも」と「どこまでなのか」という二つのニュアンスが感じられて面白い。  ちょっと気になったのが「青棚田」だ。数冊の歳時記を調べたが、季語「青田」にこの傍題も作例も載っていない。歳時記にないから使えない、と思っている人が多いのではないか。インターネットで調べたら「姥捨へせりあがり来し青棚田 山口誓子」を見つけた。誓子の句にあるのだ。堂々と使ってみよう。(恂)

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