日暮れては蟇のこゑ聞く新任地     廣田 可升

日暮れては蟇のこゑ聞く新任地     廣田 可升 『合評会から』(番町喜楽会) てる夫 転勤直後の感じがよく出ている。単身赴任かな。時間があるから、思うことも多いのでしょう。 百子 期待にそぐわない転勤だったのでしょうか。蟇蛙の声が、侘しさを感じさせます。 双歩 日暮れて間もない頃だろう。雰囲気が蟇蛙に合っていて、何とも言えない寂寥感がある。 冷峰 過疎地への転勤なのかな。宮仕えはきびしいですね。 綾子 ああ、ずいぶん遠くに来たものだ、という主人公の声が聞こえてきそうです。 春陽子 確かに侘しい雰囲気だが、作品としてみると様々なことを考えさせてくれて、楽しい句になっている。 可升(作者) 実は息子のことなんです。宇都宮への勤務が決まって、地図で調べたら、沼がありましてね・・・。 水牛 この時期、蟇蛙はあまり鳴きません。トノサマガエルかアカガエルの声が聞こえたんじゃないかな。             *             *  兼題が「蟇」で、「蟇ないて唐招提寺春いづこ」(水原秋桜子)という有名な句もある。蟇の鳴き声を詠みたくなるが、夏は鳴かないらしい。秋桜子の句には「惜春の情」が込められているという。(恂)

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