嬰児の手のふくらみや柿若葉 高石 昌魚
嬰児の手のふくらみや柿若葉 高石 昌魚
『合評会から』(日経俳句会)
悌志郎 嬰児、どう読んだらいいのか戸惑った。「やや」や「えいじ」じゃ字数が合わないし、「みどりご」と読んだら気持ち良かった、それで・・。
恂之介 赤ん坊の手はポンとふくらんでいる。柿若葉の若々しいところと合う。
智宥 まさにそういう感じです。付け加えることはありません。
正裕 「柿若葉わが子の腕の太さかな」という良い句もあり、どっちかなと思いましたが、やはり「嬰児」には勝てませんね。
誰か 「乳飲み子のもろ手開くや柿若葉」というのもありました。これも素晴らしいと思いました。
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どんな木であろうが若葉は新鮮で精一杯力を漲らせ、印象が強い。中でも柿若葉のみずみずしさと力強さは抜きん出ている。誰の頭にもそうしたイメージが刻みつけられている。その柿若葉に嬰児の手を取り合わせて詠んだ。「手のふくらみや」と素直に見たままを描写したのが、この句を生き生きさせた所以であろう。(水)