寺家村へ歩み出だせば初音かな   大下 綾子

寺家村へ歩み出だせば初音かな    大下 綾子 『合評会から』(番町喜楽会寺家桜吟行) 双歩 典型的な挨拶句、いい感じですね。「歩み出せば」の中七が素晴らしい。 百子 ほんとにそうでしたね。歩き始めたら鶯が鳴き出すなんて・・。 大虫 畦道から谷戸の山裾に一歩踏み込んだ時でした。 厳水 まさにその通り、何も付け加えることはない。うまく瞬間を詠んでます。           *     *     *  確かにこういう風に、その時の情景をそのまますっと詠む、これが吟行句の極意なのだろう。同行の面々、「やられた」という顔であった。  寺家町ふるさと村への桜吟行の一句。この辺は横浜市と言っても、川崎市麻生区、東京都町田市に接し、入り組む谷戸と鶴見川沿いに田や畑の広がるのんびりした田園地帯。七〇年代末に東急田園都市線青葉台駅が出来て、少しは便利になったものの、今でもここまで来るには駅からバスに二〇分以上揺られなければならない。それだけにカワセミもいれば鶯も歓迎の声を発してくれる小川や森が残っている。  桜はほとんど散っていたが、菜の花が満開、梨の花が盛り、春野の花々が咲き乱れる中で、一同ゆったりとした気分になった。(水)

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