青き踏む津波の傷をたどりつつ   流合 研士郎

青き踏む津波の傷をたどりつつ   流合 研士郎 『合評会から』(日経俳句会) 庄一郎 「青き踏む」を東北の津波現場と掛け合わせて「傷をたどりつつ」と、情景が浮かんでいいと思いました。 定利 四年目を迎えても傷跡生々しく、何も出来ていない。思わず採った。 恂之介 津波の傷跡を確かめに行く人が結構いる。この人もそうなんだろうな。 正市 「踏??」は春のうきうきした感じを言うのが普通ですよね。あえてそれとは対蹠的なことを述べたのか。        *     *     *  作者は震災一か月後に寝袋を持って釜石に行った。その後四年、時間だけがいたずらに経過している、との思いを込めて詠んだという。「津波の傷をたどりつつ」という措辞が、作者の心情をまざまざと伝える。  「青き踏む」は春の蘇生の喜びをうたう言葉であり、こうした後ろ向きとも思える行動を言うのにはふさわしくないという疑義もあろう。しかし、のっぺらぼうになってしまった被災地の芽生えに、傷が少しずつ癒されて行く感じも伝わってきて、こういう踏??もまた良き哉と思う。(水)

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