春の海武蔵は深く押し黙り   杉山 智宥

春の海武蔵は深く押し黙り   杉山 智宥 『合評会から』(日経俳句会) 大虫 深い海の底に武蔵は黙ってバラバラに・・イメージが伝わって来る。 二堂 「深く」が春の海の底深くというのと、「深く押し黙り」というのと重なり、実にいい感じをもたらしている。 恂之介 時が経てば「武蔵」とは何だか分からなくなってしまうのではないか。「深く」をはずして「戦艦武蔵」と言った方がいいのではないか。 正市 戦後七〇年の節目での武蔵発見だからずっと残っていく句ではないか。「押し黙り」が静かな感じを絡ませて印象深い。 庄一郎 今泉さんの言われることはよく分かるが、この句は「深く」が効いていると思う。それを取ってしまうかどうか難しいところだ。        *     *     *  武蔵・大和の二艦を造るのに国を傾けるほどの金を使った。その挙げ句が悲惨な敗戦。武蔵・大和に罪は無いが、こういう物を作らせた当時の指導者の罪は重い。だからこの手の句は好きではないのだが、時事句として秀逸だ。  ただ「武蔵」という言葉がいつまで生きて残るか。恂之介氏の懸念も確かだと思うし、「深く」も効いているし・・・困った困った。(水)

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