白梅やテレビ砂漠を映しをり     竹居 照芳

白梅やテレビ砂漠を映しをり     竹居 照芳 『この一句』  庭に白梅が咲いている、目をテレビに転ずると砂漠の風景を映している、ということだろう。テレビを見ていて、ふと庭を眺めると・・・、としてもいいが、双方に大差はない。俳句の形からすると二句一章であり、白梅と砂漠の取り合わせ、と言うこともできる。今、この句が難解だ、という人は少ないだろう。  しかし七、八十年も前ならどうか。例えば「鰯雲人に告ぐべきことならず」(加藤楸邨)。この句を見て「何が何だかさっぱり分からん」と語った俳人がいたという。「鰯雲」と「人に告ぐべき――」の関係が離れ過ぎていて、理解できなかったらしい。俳句は作り方に応じて、解釈の仕方も進歩していくのである。  白梅と砂漠は離れているようで近い関係にある。居間でテレビを見ていれば、中東の砂漠の風景がいやでも目に入ってくる。湿潤な日本と乾いた砂漠。その先に、彼の地の戦闘や殺人、虐げられた人々の生活などに思いを馳せざるを得ない。楸邨の句「鰯雲」にも戦争への思いが込められているという。(恂)

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