東風ほのか並足慣らす当歳馬   水口 弥生

東風ほのか並足慣らす当歳馬   水口 弥生 『この一句』  馬術の基本は常歩(並足・なみあし)と言って、四拍子で右後肢、右前肢、左後肢、左前肢の順に、四肢が別々に着地する歩き方。ただ、馬にとってごく自然なのは右前肢と左後肢、左前肢と右後肢をペアで出す歩き方(馬術では斜対歩という)らしく、並足で歩き始めてもすぐに斜対歩になったり、あるいは思い思いの走り方をしてしまう。というわけで、生後一年もすると、人間が歩き方を訓練する。最初はこの常歩をじっくり仕込む。  作者によると、これは世田谷の馬事公苑での風景だという。馬事公苑あたりに連れて来られた子馬なら、もう二歳になっているかも知れないが、いずれにせよやんちゃである。中には騎乗者の言うことを聞かないのもいるだろう。人間の腕白盛りと同じで、この時期にしっかり躾けておかないと、後々使い物にならない。  見物している方は呑気なものだ。言う事を聴かずにあっち向いたり、首を大きく振ったり、いなないたりする子馬に声援を送っている。ほのかな東風が心地良い。(水)

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