古暦余白のメモを読み返し   宇佐美 諭

古暦余白のメモを読み返し   宇佐美 論 『合評会から』(三四郎句会) 有弘 過ぎた日を思っているのだから、年をとった人ですか。 恂之介 そうとは限らない。一年間の暦が残っているわけではないけれど、十二月の暦としてもいい。こういうことがあった、と振り返っているんですね。 崇 作者の生活の一コマと言っていいでしょう。           *     *     *  年の暮れ、今年のカレンダーの後ろに来年のを掛ける。その途端に、まだ使っている今年のカレンダーは「古暦」と呼ばれるようになる。これが俳句の世界での約束事になっている。新年に思いを馳せながら、ああ今年も終わりだなあという感慨を抱くよすがとなるのが「古暦」という季語。  月ごとのカレンダー、あるいは卓上の日めくり暦。十二月末になって新しいのを据えた時に、古い暦のあちこちに書かれたメモに目が止まる。ああこの月にはこんなことがあったか、あの旅行は楽しかったな等々一年が走馬燈のように回る。(水)

続きを読む