冬の月ローマ遺跡の白柱     石黒 賢一

冬の月ローマ遺跡の白柱     石黒 賢一 『この一句』  喜寿を迎えた作者は仕事に一区切りをつけ、かつて駐在したイタリアへ一か月ほど、のんびりとした一人旅を楽しんできた。この句はもちろん、ローマ市内で見かけた夜の風景である。俳句を始めて数年だから、作り方にまだ自信がない。この形に仕上げるまで結構、苦心したという。  まずローマという地名である。「ローマにて」と前書をつければ楽だが、そうすると他の地の場合にもつけたくなる。地名はなるべく句の中に入れることにしたが、今度は詠みたいことが十七音に収まりにくい。この句では、遺跡に立つ真っ白な大理石の柱を五音で表現しなければならないのだ。  作者は考えた末、「白柱」(しろばしら)としたのだが、何となくしっくりこない面がある。私(筆者)は字余りでも「白き柱」がいいかな、と思ったが、かつて大相撲では土俵の四本柱を「赤柱」「白柱」などと呼んでいた。どちらがいいのか、どちらでもいいのか。私にはまだよく分からない。(恂)

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