嘘鳥の嘘つきはてて年の暮   廣田 可升

嘘鳥の嘘つきはてて年の暮   廣田 可升 『この一句』  「嘘鳥」とはどんな鳥か。一般に「ウソ」あるいは「ウソドリ」と言うと、天神様のお使いとされる「鷽」を指す。「鷽」という字が「学」の旧字体「學」に似ていることから、学問の神様菅原道真を祀った天満宮の使い鳥とされるようになったらしい。同時に「鷽」が「嘘」に通じるところから、旧年中の嘘や罪咎穢れをきれいさっぱり振り払うために、御守の木彫りの鷽を新しいものと取り替える「鷽替え神事」という正月行事が生まれた。  自然界の鷽はスズメよりやや大きく、頭と翼が真っ黒で身体は青灰色、頬が赤い可愛い小鳥で、夏は高原地帯、冬になると人里に降りて来る。  しかし、この句の「嘘鳥」は自然界のウソでもなく、天神様の鷽でもなく、どうやら作者の拵えた鳥のようである。ウソをつきまくりつきまくり、ついには年の暮れになったという妙な鳥だ。「景気は確実に良くなっている、皆さんの月給も上がる」と言いまくって大勝利した、どこぞの大嘘鳥もこの一種だろう。読みようによってどうとでも解釈でき、あれこれ思いをめぐらすことのできる面白い句ではないか。(水)

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