短日やスカイツリーの影の中     加藤 明男

短日やスカイツリーの影の中     加藤 明男 『この一句』  スカイツリーの北側の、例えば東京・向島あたりを考えたい。夏や秋だとスカイツリーの影は伸びてこないが、日が短くなれば影の中に入るようになる。いつもその辺りを歩いている人がある日ふと、ものの影に気づく。視線を南の方に向けると正体が判明した。スカイツリーの影が伸びて来ていたのであった。  理屈を言えばこういうことになるが、ただスカイツリーの影の中にいた、と解釈するだけでいいかも知れない。ある日、作者はスカイツリーの影の中にいた。オヤと気づいて辺りを見回すと、影はさらに長く、大通りを斜めに渡っている――、というような状況の中で、作者は「短日」を感じたのだろう。  東京スカイツリーは二〇一二年の開業前から今日まで、何千何万もの俳句に詠まれてきたはずだ。巨大な電波塔として、風景の一つのアクセントとして、繰り返し、繰り返し登場しているが、長い影の中に居る「短日の私」はユニークで興味深い。“スカイツリー俳句”の傑作だと私は思っている。(恂)

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