小鳥来て世間話のひとしきり   流合 研士郎

小鳥来て世間話のひとしきり   流合 研士郎 『季のことば』  この句会にはもう一つ「鳥わたる友のおしゃべり暖かき 実千代」という似た趣向の句が出ていた。蕪村に「小鳥来る音うれしさよ板びさし」という名句がある。ちょっと朝寝していたら、庇をかさこそと歩き回る小鳥たちの足音が聞こえてきた、ああ今年も渡って来たんだなと思う。小鳥たちも安心しているのだが、蕪村もほっとしているのである。そんな気分に通い合うほのぼのとした雰囲気が、この二句にはある。  晩秋、北方からツグミをはじめ小鳥たちが続々と渡って来る。暖かい冬を過ごせる日本にようやっとたどりついて、それぞれねぐらを定めるべく、仲間同士おしゃべりを交わす。安堵の気持からか、その鳴き交わしは実に楽しげに聞こえる。それが「友のおしゃべり」や「世間話のひとしきり」、つまりは夕刻の井戸端会議の風情と響き合って、実に感じの良い句になっている。  東京近辺の住宅密集地では渡り鳥を実見しにくくなった。しかし、ちょっとした広い公園や河原に行くと、「小鳥来る」光景に出会える。これも俳句に親しむようになったからこそ得られた「うれしさ」である。(水)

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