行く秋やだらだらと飲む金曜日   村田 佳代

行く秋やだらだらと飲む金曜日   村田 佳代 『季のことば』  夜長の秋ともなれば金曜日と言わず毎日飲み過ぎてしまう。だからこの句にぶつかった時、「だらだら飲んでもいいのは金曜日だけですよ」なんて言われているような気がして、意地悪なことを言うなあと思った。しかし、もとよりそれは毎日が日曜日の老耄のバカバカしい邪推である。  「金曜日」こそは真っ当な人にとって、こうした気分に浸れる日に違いない。つらつら思えば私にだって、一週間ちゃんと働いて、やれやれ一息と大ジョッキを傾ける週末があった。むろんそれだけでは終わらず、だらだらと飲んだのであった。  この句は「だらだらと飲む」という措辞によって、酒飲みのしまりの無さのようなものを感じさせる恐れもある。しかし、そういう否定的な意味合いではなく、自分をすっかり解きほぐしているということなのである。半ば意識して、だらだらと飲んでいるのだ。これぞ至福の時なのである。  「行く秋」という季語の雰囲気を「だらだらと飲む」という普通ではない言い方で詠み、しかもその感じを実によく表していると思う。(水)

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