子等の手がすり鉢押さへとろろ汁   山口 斗詩子

子等の手がすり鉢押さへとろろ汁  山口 斗詩子 『合評会から』(番町喜楽会) 大虫 まだそんなに大きくない子供たち。何か手伝いたいと、すり鉢押さえている。お母さんがせっせと擂る、そういう風景がヴィヴィッドに見えて来ます。 水馬 大変微笑ましい光景で、いい句だと思います。 厳水 私は「待ち切れず母手伝ひてとろろ汁」と作りましが、元々はこういう風に詠みたかったんです。今これを見て、なるほどと感心しています。        *     *     *  ほんとにこれは素直に詠んでいて、ほのぼのとした感じの伝わって来るいい句だ。昔も今もとろろ汁は家族みんなの大好物。とろろ芋を擂って醤油を利かせた出汁で伸ばした汁を温かい御飯にかけ、青海苔かもみ海苔をぱらりと振る。ただそれだけの単純な料理だが、なんとも滋味深い。懐かしさを感じる。  そのとろろ汁を作るのに、子どもたちが手伝うと言って、すり鉢を押さえている。擂粉木を力一杯回しているのはもしかしたらお父さんかも知れない。お母さんはにこにこ笑いながらもうひと品おかずをこしらえている。今夜の食事は一家揃って、さぞかし美味しいことだろう。(水)

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