シャッターの銀天街や秋の声       澤井 二堂

シャッターの銀天街や秋の声       澤井 二堂 『季のことば』  「秋の声」。いかにも季語らしい言葉である。「春の声」はワルツの名にあるが、夏の声、冬の声とともに季語にはない。なぜ秋にだけ・・・、それが季語の季語たる所以ではないだろうか。四季にはそれぞれ違いがあり、日本人はその特徴を捉え、季節を感じてきた。「秋の声」はその代表的な一例と言えるだろう。  歳時記には欧陽脩(中国)の詩に由来する、とある。調べてみたら結構、長い詩で、童子の語る「四方に人声なし、声は樹間にあり」あたりが、出所らしい。この秋声が日本に定着し、延々と今日まで俳句に引き継がれ、いかにも日本らしい秋の気配を、無数と言えるほどに創り出してきた。  上掲句の銀天街とは、長いアーケードのある商店街の名で、福岡・小倉に発し、関西に目立つという。作者が出会ったのは山口・宇部の銀天街。繁華な愛媛・松山などと違って、典型的なシャッター街になっている。作者は寂しげな商店街にそこはかとない秋の気配を感じた。いかにも現代的な秋の声である。(恂)

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