いつもより頤上げ歩くサングラス   流合 研士郎

いつもより頤上げ歩くサングラス   流合 研士郎 『この一句』  九月は仲秋。しかし近頃の九月は、朝晩こそ気温が下がるが、日中はまだかなり暑く、それに日射しが昔に比べると強くて、なんだか夏がいつまでも続いているような感じがする。そんなこともあってか、繁華街にはおしゃれなサングラスをかけた人が相変わらず目につく。  茶褐色の虹彩を持つ日本人は、青色の西洋人に比べて日の光りをあまり眩しがらないとされてきたのだが、どうも身体の出来具合まで洋風化したのか、眩しがり屋が多くなり、サングラスの実用度が高まって来たという話も聞く。  この句のサングラスはどうだろう。これはやはりお洒落や粋がってかけた部類であろう。思い切ってかけてみたら、世界が違うように見えるし、気持も高揚してきた。町を歩いているうちに、いつのまにか背筋が伸びて、大股になっている自分に気がついたというのだ。「いつもより頤上げ歩く」というのが、サングラスを初めてかけた時の高ぶりを実にうまく伝えている。(水)

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