事多き一日終えて柿をむく   山口 斗詩子

事多き一日終えて柿をむく   山口 斗詩子 『合評会から』(番町喜楽会) 大虫 忙しい一日が終わり、柿をむく。ほっとした感じに柿が合っている。リンゴではダメでしょう。 春陽子 「事多き」がいい。いろいろなことがあったが、やれやれ、という感じがよく出ています。 百子 この句はたぶん、実体験でしょう。ばたばたした一日が終わり、柿をむいている気持ちがよく分かる。        *     *     *  「事多き」というのがやや大づかみ過ぎる詠み方だと思うが、夜もかなり更けてようやく全てにけりを付けて、ほっとした雰囲気がよく分かる句である。「柿をむく」が実にいい。大虫さんが言うように、他の果物ではなかなかこの感じは得られない。自分のいま置かれている状況と思いを託すに足る素材を見つける。これが作句要領の要諦の一つなのだが、この句などそれがぴたりとはまった例と言えそうである。(水)

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