朝顔や妻の小言を聞き流し   宇佐美 諭

朝顔や妻の小言を聞き流し   宇佐美 論 『季のことば』  朝顔は品種改良と栽培技術が進んだ結果、今では七月早々から園芸店に並ぶ。有名な入谷の朝顔市も毎年七月六、七、八日の三日間と決まっている。こんなところから、俳句にかなり慣れた人でも朝顔を夏の季語と勘違いしてしまうことがあるが、朝顔はれっきとした秋の季語である。これは実際に朝顔の種を蒔いて育ててみれば分かるのだが、盛んに咲くのは八月である。また朝顔は別名を牽牛花(けんぎゅうか)と言うように、昔から牽牛織女の七夕の頃の花とされていた。七月七日は旧暦では言うまでもなく秋である。  この句、「妻の小言」を朝顔と取り合わせたところ、実に味がある。妻も甲羅を経て山の神などと呼ばれるようになると、小言発生器と化す。よくもまあ朝っぱらから小言のタネを思いつくものよ。まるで次から次に咲き続ける朝顔みたいじゃないか・・。恭順を装いつつ耳に蓋をし、萎んだ花殻をむしったりしている亭主の姿が浮かんで来て、実におかしい。(水)

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