八月の棚田見廻る赤とんぼ     吉田 正義

八月の棚田見廻る赤とんぼ     吉田 正義 『合評会から』(三四郎句会) 久敬 八月の棚田の空気をよく表わしていると思います。 義彦 赤とんぼが棚田の上を飛ぶ様子がよく分かる。見回るという言葉が気に入った。 敦子 そうですね、赤とんぼが見回っている、という情景が見えてきます。 進 私も言いたいことは全く同じ。季語が二つだが、敢えて選んだ。 恂之介 実際は虫を追っているのですが。見回っている、かのように見えたのですね。              *          *  兼題は「八月」だった。それに「赤蜻蛉」も季語。「季重なり」は禁止、と思っている人には選べない句だろう。しかし芭蕉は「一句に季節二三有とも難なかるべし」(去来抄)と言っている。複数の季が相照応してさらなる効果を生めばそれでいい、ということだ。この句、稲が実る頃の「八月」と、田の上を飛ぶ「赤とんぼ」のどちらも欠かせない。作者は七十歳代半ばで俳句を始めたばかり。二度目の句会で、この句が最高点を獲得し、出席者全員の拍手を受けた。(恂)

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