大暑かなつめたきものに猫の鼻       横井 定利

大暑かなつめたきものに猫の鼻       横井 定利 『季のことば』  今年の「大暑」は七月二十三日だった。東京は曇り、最高気温は33・1度。相当な暑さだったが、その後も猛暑、酷暑ばかりだから、気分としてはずっと大暑続きである。二十四節気の定めによる季語の「大暑」は一日限り。しかし一般的な用語としての大暑は酷暑と同義と言っていいだろう。  猫が親しげに鼻をすり寄せてきた。腕に触れた鼻は「おや」と思うほど冷ややかで、湿り気も感じられる。冬や春の頃は気にしなかったが、猫や犬の鼻はいつも湿っている。内側から何らかの液体が分泌していて、その気化熱で熱を冷まし、嗅覚を鈍らせないようにしているのではないだろうか――。  作者の発見の経緯をこんな風に考えたが、聞いてみたら違っていた。「いやぁ」と言って教えてくれたのが「猫の鼻は大暑三日の他は冷たい」という俗言である。彼の発見は「大暑でも冷たい」という点にあった。俗言は「猫の鼻と○○は」だそうだが、○○は、の方は聞き洩らした。(恂)

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