体重計ゆっくりと乗る大暑かな      鈴木好夫

体重計ゆっくりと乗る大暑かな      鈴木好夫 『季のことば』  中国伝来の季節区分・二十四節気が、千年以上の歳月を経て健在であるばかりか、日本人の生活に徐々に入り込んできているように見える。原因はテレビの天気予報にあるのではないだろうか。予報士の「今日は立秋ですが」などという言葉を聞くだけで、耳学問が積み重なっていくはずである。  今年の「大暑」は七月二十三日。その日の句会で「大暑」が兼題になった。タイミングがぴったり合ったわけだが、意地悪く言えば、どの句も「大暑」の前に出来ていた。俳句は、実際の「その日」より前に作られることがむしろ多く、このようなケースはごく普通のことと言っていい。  句の作者は仕事を終え、食事の前に風呂に入ろうとしたのだろう。暑い日であった。職業は医師だから一日中、診療所にいたのだが、患者さんはみな炎天下をやっている。あの人は辛そうだった、などと心配しながら体重計にゆっくりと乗ったのだ。医師にとって暑い日はすべて大暑の日なのである。(恂)

続きを読む