遠雷や自画像多き無言館         廣上 正市

遠雷や自画像多き無言館         廣上 正市 『合評会から』(日経俳句会) 弥生 無言館は確かに自画像が多い。この句、還ってこない人たちの思いと「遠雷」がつながっています。 冷峰 そう、戦没画学生が描いた絵ですね。南方で亡くなった彼らの無念の声が聞こえてくるようだ。 詠悟 あそこには一回行くと忘れられない絵が多い。戦時中はモデルがいないので自画像になったのか。 てる夫 画学生は必ず自画像を描く。戦没画学生だから自画像が多いという訳ではないが・・・。 反平 終戦日が間近です。遠雷を聞き、戦没学生に思いを馳せる作者の姿が見えるような句だ。 大虫 遙かに去った自画像の主と「遠雷」。パレスチナのガザとかイラクの紛争などにも結びついている。 明男 遠雷は「もっと生きたかった」という叫び声ですね。 正 重みのある情景と画学生の訴えが、遠雷となって心に響いてきます。              *            *              「無言館」(長野県上田市)の俳句への登場回数は、建物の第一位かも知れない。「画学生の自画像」もよく目にする。それでなお心に強く響くのは「遠雷」という語の力だろう。優れた句だと思う。(恂)

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