どの田にも水走らせよ時鳥   嵐田 啓明

どの田にも水走らせよ時鳥   嵐田 啓明 『合評会から』(日経俳句会合同句会) 綾子 日本の原風景である里山とその麓に広がる水田、ひろびろとした光景に「どの田にも水走らせよ」と動きのある言葉で、格調高く歌い上げています。 正裕 ちょうど田圃に水を注ぎ込む時期、ホトトギスが声高く鳴きながらさーっと飛んで行く様子、そんな情景が鮮やかに詠まれています。 光迷 「水走らせよ」という中七の命令形が強く響いて、軽快で実にいい感じです。これとよく似た句があったなあと、考えたら「野を横に馬牽き向けよほとぎす 芭蕉」だった。構造的にはこの句は芭蕉句と同じだが、「水走らせよ」が生きていて、とても良いと思った。 恂之介 ほととぎすは勧農鳥とも書くように、昔から農業と深い関係を持っていた鳥。田植えの頃の田の上を飛んでいるんですね。とても勢いのある句ですね。           *     *     *  皆さんの言うように、この句はまさに豊葦原瑞穂之国の看板のような俳句である。古格を備えつつ、しかも現代にも生き続けている風景をしっかりと詠み止めている。(水)

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