肥後守錆びて候走り梅雨        玉田春陽子

肥後守錆びて候走り梅雨        玉田春陽子 『合評会から』(番町喜楽会) 白山 何と言っても「候(そうろう)」がいいですよ。肥後守(ひごのかみ)ですからね。 水馬 梅雨だから錆びる。肥後守の刃を出してみたら錆びていたのですね。しかし今の子はあの小刀を知らないだろうな。 大虫 鉄製だから。今はもう錆びるナイフなんてないでしょう。 水牛 しかし「錆びて候」とはうまいもんだ。              *           *  句への感想が終わった後、肥後守の思い出話がにぎやかに続いた。鉄板を折り曲げた鞘の中に刃が収まっているあの小刀。もちろん鉛筆削り用だが、あれを持つとちょっと大人になったような気がしたものだ。「学校の帰りなんか、ポケットの中に入れておいてね」「しかし、あれは切れ味が悪かった」「切り出しの方がよく切れたよ」。今の子供が聞けば目を白黒させるだろう。(恂)

続きを読む