腹の傷ゆっくりさすり衣がへ   金田 青水

腹の傷ゆっくりさすり衣がへ   金田 青水 『合評会から』(日経俳句会) 好夫 そういう人もいるんだなあと(笑い) 恂之介 蕪村の更衣の句なんかでも、よく生きてきたなあというのがある。この気持ちよく分かる。 正市 パジャマを冬から夏に替えるときの感じかな。手術をして…そういう景が見える。「衣がへ」もふつうの「更衣」でなく、考えたのかなと。 操 軽やかな衣で過ごせる季節を迎え、病状も快方に向かっている安堵感を感じます。           *     *     *  大手術の跡を「見ろ見ろ」と見せたがる人がいる。手術の傷が勲章のように思えるのか、懐かしくなるのか。この作者にはそんな趣味は無いだろうが、とにかく生死の境をさまよう大病をして、あちこちを切っているようだ。夕方一風呂浴びる時、朝、寝間着から着替える時、腹の傷をゆっくり撫でるのがクセのようになってしまった。取り合わせとしてはびっくりするような代物だが、「衣がへ」という季語に何ともよく合っている。(水)

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