つちふるや駱駝色なる城下町       三好 六甫

つちふるや駱駝色なる城下町       三好 六甫 『季のことば』  春の季語「黄砂」は「黄沙」とも書き、「霾(つちふる、ばい)」「黄塵」「つちかぜ」「つちぐもり」などのほか、歳時記には「蒙古風」「胡沙」という傍題も並んでいる。「蒙古」「胡(外国・異民族の意味)」の語が示すように、中国における黄砂は、モンゴルや西域方面から飛来する土埃なのだ。  モンゴルの大草原の下は粉のような土の層であり、草が枯れ切った春先、風に舞い上げられた土が黄砂となる。それが中国大陸に舞い落ち、また舞い上がることを繰り返して日本にやってくる。中国もまた被害国なのだが、PM2・5など気味の悪い汚染物質を黄砂に混じり込ませ、日本への加害国となる。  西域やモンゴルで黄砂の降り積もる中、目をつぶり、うずくまる駱駝の姿を何度か見たことがある。あの黄塵が日本にまで飛んできて俳句の題材になる。上掲句は愛媛・松山城下の情景を詠んだものだという。それにしても「駱駝色」とは、何とも黄砂に相応しい色を見つけたものである。(恂)

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