囀りや合格の子の声明かし   前島 厳水

囀りや合格の子の声明かし   前島 厳水 『季のことば』  二月頃からゴールデンウイークあたりまで、小鳥たちが賑やかになる。時には騒々しいほどに鳴き交わす。鶯、メジロ、頬白、四十雀などが雌を引きつけようと懸命になっているのだ。野山に行けば雲雀をはじめあらゆる野鳥が囀っている。小鳥は一年中鳴いてはいるのだが、それはいわば日常会話で「地鳴き」と言い、地味で単調である。それに対して繁殖期の「囀り」は派手で明るく艶がある。  時あたかも人間界は年度の切り替えシーズン。大人は人事異動、子どもたちは受験という関門をくぐらねばならない。  どうやらこの句はお孫さんが「おじいちゃん、合格しましたよ」と声はずませて報告に来たところのようである。当人はもとより、親もオジイチャン・オバアチャンも大喜び。家中はちきれんばかりの賑やかさ。小鳥たちの囀りがそれに唱和しているようだ。「実は『合格』も季語なんですが」という異議申し立てなどかき消されてしまう。(水)

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